機材外観
自由なコメント
アメリカのAvid Technologyが開発するDAW(Digital Audio Workstation)。
最上位盤のPro Tools | Ultimate。
レコーディングスタジオのデファクトスタンダード。
音楽制作から映画制作まで幅広く利用される。
Ultimateは最上位版で、最大2048ボイス。
音の仕事をする人の多くはこれを使っている。
このDAWが広まったのは、90年代の先行性とデータ互換性の面からと思われる。
データを渡すとき、Pro Tools同士だと、Pro Toolsセッションファイルのやりとりだけで全データを共有できるので、楽である。
作曲家さんなどは他のDAWを使用しているというケースもよく聞くが、データの受け取り用やオーディオ録音用に一応Pro Toolsも持っているというパターンも多い。
「Pro Toolsってそんなに良いんですか?」と聞かれることがあるが、作曲するのにこれである必要性は特にない。
しかし、多くのスタジオがPro Toolsを導入しているという事実の上で、上記データ共有の面でPro Toolsを持っていることの利点はいくつかある。
1.アーティストが作成したセッションデータをスタジオに持ち込める
テンポや拍子がしょっちゅう変わる曲、レッテルがわかりにくい曲などは、スタジオでテンポマップを作っているとそれだけで時間が取られる。
そのような場合、テンポマップやレッテルを予め作成したPro Toolsセッションファイルを持ち込むと早い。
もちろん、テンポマップだけならMIDIファイルでも可能だが。
2.セッションデータを受け取れるので録音物の編集が自由
アマチュアの人の多くはPro Toolsを持っていないので、録音物を元に家でアレンジなどを練るために「パラデータ(トラックごとに1本化したオーディオデータ)をください」という話はよく発生する。
パラデータはただのオーディオデータなので、Pro Tools以外のDAWにインポートすることができるため、こういう話になる。
そして、Pro Toolsでパンチインやエディットなどして作成した普通のOKトラックを、パラデータとして1本化して書き出すには、チェックなどの多少の手間がかかる。
アーティストがOKテイクを持ち帰ってアレンジするということは常識的に考えられるため、当スタジオではOKテイクのみなら無料でパラデータ送付に対応している。
しかし時々「全テイクが欲しい」「ステム色々とパラデータの両方欲しい」など、突っ込んだ要望がある。
別のDAWでテイクジャッジ(トラックコンピング・切り貼り)等の編集を行うための大量のオーディオファイルの生成及び配布や、いろんなバージョンのステム作成などは、無料では請け負えません。
テイクジャッジ等まで持ち帰って細かくやりたい場合、Pro Toolsを持つことが合理的です。
プロの作曲家がPro Toolsを持っているのはそのような理由です。
そうしたらセッションデータを送付しますので、全てのデータにアクセス可能になり、どのような編集も可能になり、どのようなものでも作れるようになります。
それは難しいということでしたら、スタジオをご予約の上、お越し下さい。
もちろん、「録音に関する作業はスタジオで時間内に完結させる」という精神で突き進める人は、決断の先送りを回避し、有限な時間を有効に利用できるので、それが最も良いことは言うまでもなく、もしかしたらPro Toolsは永遠に必要ないかもしれない。
また、映像業界でもスタンダードで、Avidが作っている映像制作ソフトにMedia Composerというのがあり、もちろん互換性は良い模様。
あと、Pro Toolsといえばバグ。
相変わらずバグはなくならないが、致命的なバグは最近はないような気がする。