なので、ミキサーは通常会場内のメインスピーカー(客席向けのスピーカー)の音が聞こえる場所に配置します。
しかし会場のレイアウトの関係上、どうしても舞台袖にミキサーを配置せざるを得ない場合があります。
舞台袖にはメインスピーカーの音は届きませんから、音響オペレートは難しくなります。
そのような場合を袖オペと言いますが、今回は袖オペの難しさと解決方法を説明します。
袖オペとは
上の図はロックバンドがステージで演奏する場合の図です。
客席は図の下部にあり、メインスピーカーはステージ上の客席側ギリギリのところに客席に向けて配置されています。
スピーカーには指向性があり、音が飛ぶ方向が決まっていますので、メインスピーカーの音に関してまともに聞こえるのは客席のみです。
音の回り込みなどによりスピーカーの横や後ろにも音は聞こえるものの、スピーカー正面の音とは全く異なった音になります。
そしてオペレート席(ミキサー)は舞台袖にありますので、客席に飛ぶ音がどうなっているのかオペレート席では確認できません。
このような状態を袖オペと言います。
オペレート席は原則客席側に置いたほうが良いとはいえ、ポータブルPAが必要とされるような場所は本来ステージとして作られた場所ではないことが多く、このようにせざるを得ない現場は多数あります。
袖オペ時の対策
また、誰かに客席にいてもらい、バランスをジェスチャーで指示してもらうこともあります。
とりあえず勘で音を作り、客席に確認しに行くといったこともします。
楽器の生音とのバランス
客席においてメインスピーカーの音量が楽器の生音と比較してはるかに大きい場合は問題ありません。
しかし、メインスピーカーの音量が楽器生音と比較してさほど大きくなかった場合(つまりさほど音量を出せない会場の場合)、楽器の生音ありきで必要な音をメインスピーカーで足してバランスをとる、というミックスになります。
この時、バランスをとるためはメインスピーカーからの出力は、生音が小さい楽器ほど大きく出力する必要があり、生音が大きい楽器ほど出さない、ということになります。
具体的には、キーボード等ライン系が大きくなります。なぜならラインの音は生音がゼロだからです。
他にも、音の小さいアコースティック楽器、ボーカルなどはメインスピーカーからしっかり出す必要があります。
逆に、エレキギター、エレキベース、ドラムなどの音が大きい楽器は、メインスピーカーからほとんど出力しない(全体の音量をおさえた上でバランスをとるためには出せない)こともあります。
袖オペは極力避けたほうがいいものの、どうしてもそうせざるを得ない現場は多いです。
しっかり打ち合わせとリハをし、本番に慌てることのないようにしましょう。