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ボーカル・ラップのレコーディング方法

ボーカルレコーディングのコツは、ノイズを少なく、近い音で、デッドに録ることです。
ノイズが多すぎる、音が遠すぎる(薄っぺらすぎる)、部屋の反響が入りすぎている、というボーカルレコーディングが失敗ということになります(※特にそのような狙いがある場合は除く)。
ヒップホップなどのラップも特別なセッティングはなく、ボーカルレコーディングと同じになります。
ラップはリズムが重要なため、やはり音は近めで輪郭がくっきりしているほうが良いです。
声さえ出せる環境であれば、ボーカル・ラップのレコーディングは自宅でも十分可能です。

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1.ボーカル・ラップレコーディングの基本セッティング

マイク

基本的にはラージダイアフラムのコンデンサーマイクを使用します。
Neumann U87ai、AKG C414、RODE NT2 等。
口の前にダイヤフラム(振動板)がくるようにまっすぐセッティングします。
歌っている途中でマイクの位置が変わらないように、しっかりとセッティングします。

指向性は単一指向性を選択し、余分な残響を拾わないようにします。
全指向性を選択すると、マイク背面からの反射を拾ってしまい、不明瞭な音になることがあります。

ハイパスフィルターなどは入れなくてかまいませんが、特に録音段で低域をカットして収録したい場合は入れてもかまいません。
低域を切りすぎないように注意しましょう。

ポップガード

ポップガードは使用したほうが吹かれノイズを予防でき、良い結果が得られます。
ポップガードとは、風によってマイクの振動板が吹かれ、無用な雑音として録音されることを防ぐ風防です。
K&M等各社から販売されています。

マイクと口の距離

基本的にはオンマイク(至近距離)にセッティングします。
ライブでダイナミックマイクを使用する場合、マイクにかぶりつくような距離で歌う場合がありますが、コンデンサマイクを使用する場合、コンデンサーマイクは湿気で音が変わるため、かぶりつくような距離まで近づけてはいけません。
マイクからポップガードまでの距離が5cm~10cm、ポップガードから口までの距離が5cm~10cm、結果マイクから口への距離は10cm~20cmほどでOKです。
マイクをきちんと口の前にセッティングした場合、マイクのカバー範囲は広いので、多少動いたり離れたりしても問題はありません。

ヘッドフォン

声を収録するマイクが置いてある部屋で、スピーカーから音を出すわけにはいきません。
演者のモニターには、ヘッドフォン(もしくはイヤフォン)を使用し、録音場所には「歌」以外の音がない状態にします。
ヘッドフォンは音漏れの少ない「密閉型」を使用します。

2.ボーカルレコーディング時のノイズについて

ボーカル・ラップレコーディング時のノイズは、下記のようなものがあります。
1 エアコン、パソコンの動作音、衣擦れ、アクセサリーによる音等、モノや演者から発生する音
2 ヘッドフォンによるクリックの音漏れ
3 機材の電気的ノイズ

モノや演者から発生する音

パソコンや機材のファンの音は、ボーカルブースを隔離できる場合は問題ありませんが、宅録では最も問題になるノイズです。
パソコンの近くで録音する場合は、マイクをできるだけパソコンから離し、指向性を利用して機材のファン音を拾わないようにします。

エアコンは消して録音したほうが良いです

化学繊維でできている上着などは、動いたときに音が出る場合があります。

アクセサリーなども、音が鳴るものは外して録音します。

ヘッドフォンによるクリックの音漏れ

クリックの音を大きめにモニターしていると、マイクにクリックの音が入ってしまう場合があります。
バックが賑やかな部分では問題になりませんが、落ちサビなど、曲中でオケの音が小さくなりボーカルだけが歌うような場面で問題になります。
そのような場合はヘッドフォンではなく、インイヤーモニター(イヤフォン)を使って録音するか、クリックの音を小さくモニターして録音します。
MIXでも使用するバッキングトラックの楽器の音は、多少なら入っても問題ありません。

機材の電気的ノイズ

録音した際には必ず「サー」という機材の電気的なノイズが少し乗ります。
ささやくようなボーカルでとても声が小さい場合、これが問題になる場合がまれにあります。
ボーカルの声が小さい場合はできるだけノイズの少ないマイクを使い、マイクを口に近づけて声をたくさんマイクに入れるようにします。
声が小さい場合、他のノイズの問題も発生しやすくなりますので、注意して録音する必要があります。

大きな声で歌い、マイクに声をたくさん入れること

録音にノイズはつきものです。必ず少しはノイズが混じります。
問題は、ノイズの量がボーカルの量と比較して問題になる量かどうか、です。
ノイズ的に問題のない録音をしたい場合、できるだけ声は大きく、マイクは近く、大きなレベルで収録されるようにすると、相対的にノイズの分量が小さくなり、ノイズの少ない録音ができます。

3.部屋の反響について

屋内での会話は、50%以上部屋の反射音を聞いている、と言われています。
普段意識することはありませんが、屋内で音が鳴った場合、直接耳に届く音よりも、壁などに反射した音のほうが多いのです。
録音の際にこの反射音を拾ってしまうと、ルームリバーブのかかったぼやけた音に録音されてしまいます。
ボーカルに付加するリバーブは音楽的にとても重要です。
MIX時にリバーブの自由度を確保するためには、デッド(部屋の反響の音がない)な状態で録音する必要があります。

オンマイクのほうが良い

マイクを離すと反射音をたくさん拾います。
マイクは口に近いほうが、ダイレクト音の比率が大きくなります。

部屋の状態

たくさん物が置いてある部屋は、反響が少ないです。
逆に何も置いていない部屋は反響が多いです。
反響が少ない部屋で録音する場合、ただオンマイクで録音するのみで問題ない場合があります。

布団を使う

マイクスタンドに布団をかぶせて、コの字状に配置し、マイクの周囲を囲います。
マイク下部にも布団などの吸音素材を置くとベターです。
このようにすると、反射の多い部屋でもデッドに録音できます。
また、布団壁は上記パソコンノイズの予防などにも有効です。

4.マイクについて

基本的にラージダイヤフラムのコンデンサーマイクを使用しますが、ダイナミックマイクを使用した場合もダメということはありません。
声が大きい場合や、ロックな太い感じ、良い意味でラフな感じを演出したい場合は、あえてダイナミックマイクを使用する場合もあります。
ブレスの表現が重要なウィスパーボイスなどは、コンデンサーマイクを使用した方が、繊細な感じになり、イメージに合う場合が多いです。
Neumann U87aiなどはプロ向けの代表的なマイクですが、価格もそれなりです。
最近では各社から高品位でリーズナブルなマイクも出ており、RODE NT-1やAKG C214などはかなりのクオリティで録音できます。

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